若者の自殺リスクを下げる“ポジティブな子ども時代の経験”とは?
「前向きな子ども時代の経験(PCEs)」が、若者の自殺リスクを下げる――
そんな興味深い研究結果が、明治学院大学を中心とした研究グループから報告されました。
対象となったのは、全国の16〜25歳の若者5,000人。自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)といった神経発達特性と、自殺念慮や企図との関連を調査したところ、「ポジティブな経験」が多いほど自殺リスクが下がるという結果が得られました。
特にADHD傾向の強い若者においては、この「前向きな経験」の効果がより顕著で、感情調整の困難さを緩和する心理的なクッションのような役割を果たしている可能性が示唆されています。
一方で、ASDとADHDの両方の特性を併せ持つ若者では、PCEsの得点が低く、自殺念慮スコアが高いという厳しい実態も浮き彫りに。「保護要因」としてのPCEsに着目し、家庭・学校・地域が一体となった支援が求められています。
https://www.qlifepro.com/news/20250519/pces.html
薬剤師・社労士として感じること
医療や介護の現場で働く中で、**「環境が人を育てる」**という言葉の重みを日々実感しています。
子ども時代の経験だけでなく、大人になってからの職場環境もまた、心身の健康に大きく影響します。
メンタルヘルスに配慮した職場づくり、職員間の関係性、上司との信頼、業務量の調整…。
こうした要素は、処遇改善加算やベースアップ評価料といった制度面の整備とも関係してきます。
数値では測りにくい「安心できる環境」こそが、働く人の力を引き出すのではないでしょうか。
HOLOS社労士&行政書士Laboからのひとこと
仙台・宮城県を拠点に、医療・薬局・介護の現場に寄り添う支援を行っているHOLOSでは、働く人の「安心できる環境づくり」を大切にしています。
今回の研究は、子ども時代の体験が将来のメンタルヘルスに大きく影響することを示しており、現場のコミュニケーションや職場づくりにも活かせるヒントが詰まっているように感じます。
制度だけでなく、「人」を見ること。
その視点を、これからも大切にしていきたいと思います。
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