【物価高と介護施設】食費34万円増…赤字続く特養、限界の経営に「国の支援は追いついているか?」

2025年、全国の高齢者施設が今、かつてない危機に直面しています。
その大きな要因の一つが「食費の高騰」。
全国老人保健施設協会などが行った調査によると、2023年1月から2025年1月のわずか2年間で、施設あたり月34万円以上も食費が増加しています。

これは、光熱費や人件費の上昇と相まって、特養・介護老人保健施設(老健)などの経営を大きく圧迫。
「限界だ」という現場の声が上がるのも、当然と言えます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250508/k10014799831000.html


■食材費の上昇、委託費の増加…自助努力だけでは追いつかない

調査によれば、2025年1月の平均食費支出は月367万8000円
このうち食材費は126万3000円にのぼり、前年同月比で16万円以上増加。
ブレンド米や卵・豆類への切り替え、温め用調理機器の導入、節電システムの活用など、現場では様々な工夫が続いています。

しかし、委託調理スタッフの人件費や調達費用も上がり、年間720万円の増加という施設も。
いくら創意工夫を重ねても、構造的な支援なしでは赤字解消の見通しが立たないのが実情です。


■制度が現実に追いついていない

現在、国は「1日1445円」を上限として食費を肩代わりする制度を運用しています。
しかし、これは3年ごとに改定される仕組みで、急激な物価高に対応できないという根本的な問題があります。

低所得者向けの支援制度のため、施設側はコスト増分を利用者に転嫁できず
結果として「給食の質を落とすか、人件費を抑えるか」という二択を迫られます。


■社労士・薬剤師としてできる支援とは?

こうした状況下では、現場職員のモチベーションや離職リスクも高まります。
介護施設では処遇改善加算や医療施設ではベースアップ評価料を最大限に活用し、スタッフの処遇を安定させる仕組みを整えることが不可欠です。

  • 調理・栄養スタッフも加算の対象になる職種として明確に位置づける
  • 賃上げ分を他経費に吸収されないよう、財務構造を見直す
  • 労働時間の適正化・シフト設計の最適化を図る

これらの対策は、社労士が具体的な実務設計を支援できる領域です。


■HOLOS社労士&行政書士Laboの役割

HOLOSでは、仙台・宮城県をはじめとする地域医療・介護事業所に対し、
物価高や制度変化に適応するための実践的な支援を行っています。

  • 経営圧迫要因の整理と財務・労務バランスの見直し
  • 加算制度や補助金の活用支援
  • 現場職員への説明支援や意識共有の工夫

経営と現場のどちらにも目を配りながら、「今を乗り越える工夫」と「制度を活かす視点」をご提供します。

HOLOS社労士&行政書士Labo
薬剤師・社労士・行政書士
石田 宗貴

投稿者プロフィール

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