パート労働者への厚生年金適用拡大:10月から51人以上の企業も対象に!
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2024年10月から、パートなど短時間労働者に対する厚生年金の適用範囲が大きく広がります。これまで従業員101人以上の企業に勤める労働者が対象でしたが、これが「51人以上」の企業にまで引き下げられ、約20万人の労働者が新たに加入する見込みです。
厚生年金のメリット
厚生年金に加入すると、企業と労働者が折半で保険料を負担し、将来的に国民年金よりも手厚い年金を受け取れるようになります。さらに、短時間労働者は一定の条件を満たす必要があり、具体的には週20時間以上働き、月額賃金が88,000円以上であることが求められます。厚生年金に加入することで、公的医療保険にも自動的に加入でき、傷病手当金などの福利厚生も手厚くなります。
パート労働者と「年収の壁」問題
今回の変更で、パート労働者や非正規労働者の多くが厚生年金に加入することになりますが、手取り収入を維持するために就業時間を抑える「年収の壁」問題が深刻化する懸念があります。これに対して政府は、2025年度末までに従業員の手取りが減らないように賃上げを行う企業に対して助成金を支給する支援策を講じています。
2025年にはさらに拡大予定
今後、2025年の年金制度改正に向けて、政府は企業規模要件を撤廃し、50人以下の企業にも厚生年金を適用する方針を検討しています。これにより、パート労働者にとって年金制度がより公平に適用されるようになるでしょう。
しかし、小規模企業にとっては、保険料や事務的負担が増加することが懸念されています。このため、こうした企業への支援策も強化される見通しです。
社労士の役割とサポート
こうした年金制度や雇用形態の変化に対応するために、社会保険労務士(社労士)のサポートが欠かせません。特に、パート労働者の多い病院やクリニック、薬局などの医療機関では、法改正に応じた適切な労務管理が重要です。また、労働者の負担を軽減しつつ、福利厚生を充実させるための助成金の活用支援など、社労士が企業と労働者をサポートする役割が大きくなっています。
薬剤師としても、パート従業員が多い薬局では、労働環境の整備や福利厚生の見直しを行い、職場全体の安心感を高めることが求められます。年金制度の変更が従業員のモチベーションや働き方に与える影響をしっかりと理解し、適切な対応を行うことが重要です。
薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴
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