内斜視の新規患者が6年間で5000人超増加 ― スマホとの関係と医療現場に求められる健康管理体制の強化
スマートフォンの普及とともに、私たちの生活は便利になった一方で、身体に及ぼす影響も徐々に顕在化しています。京都大学の研究によると、片目が内側に寄ってしまう「内斜視」の新規診断患者が、6年間で約13%・5000人以上増加していたことが分かりました。
このニュースは、単なる「目のトラブル」ではなく、私たち医療・福祉業界の労務管理や健康支援のあり方にとっても無視できない警鐘です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250606/k10014827501000.html
◆ 内斜視とは? スマホと視覚トラブルの関係
「内斜視」は、片方の目が内側に寄ってしまうことで、物が二重に見えたり、距離感がつかめなくなる疾患です。
スマホの長時間使用により、近くを見る作業が長く続くと、目の筋肉が過度に緊張し、調整力が低下して斜視が起きる可能性が指摘されています。
特に若年層では、目の不調を「疲れ目」と軽く捉え、受診が遅れるケースも多いと報告されています。
◆ 薬剤師・社労士の視点から:医療現場の盲点に光を
● 【薬剤師としての視点】
現場で薬剤師として勤務していた経験上、スタッフや患者が「眼精疲労」や「目のかすみ」を訴えるケースは多くありましたが、その中に潜む斜視や神経系の疾患が見逃されていることは珍しくありません。
また、医療機関・薬局の現場では「目を酷使する環境」が当たり前になっていることも重要です。
例えば、レセプト点検、電子薬歴入力、画面でのオーダーチェックなど、「PC画面や処方箋を近距離で凝視する作業」は、外来の混雑時には何時間も続きます。
これらが、慢性的な眼筋疲労や内斜視のリスク要因となっている可能性は否定できません。
現場では「白衣を着た自分たちの健康」こそが後回しになりがちです。
医療職員自身が不調を訴えにくい構造があるからこそ、組織としての健康管理体制の構築が重要です。
● 【社労士としての視点】
このような健康課題を「個人の自己管理」に任せるだけでは限界があります。
現在、**「ベースアップ評価料」や「処遇改善加算」**などの加算制度が導入され、医療・介護職員の処遇や職場環境改善が評価対象となっています。
特に2024年度診療報酬改定以降は、「働きやすさ」や「健康配慮」も、加算の対象とされる時代に入ってきました。
例えば:
- 定期健康診断の実施だけでなく、VDT作業(PC・スマホ作業)に関する労働安全教育の導入
- 「スマホの見過ぎ=患者だけの問題」とせず、職員の目の健康への配慮
- 産業医・眼科医と連携した定期的な目のチェック体制の構築
これらは今後、職場の安全衛生管理の評価指標になり得ます。
加算制度を単なる「賃上げ原資」と捉えるのではなく、実効性のある健康施策への投資ツールとする視点が、今後の医療法人経営には求められます。
◆ HOLOS社労士&行政書士Laboのサポート
私たちHOLOS(ホロス)社労士&行政書士Laboでは、宮城県・仙台を拠点に、医療機関・薬局・介護事業者向けの労務管理と制度活用の支援を行っています。
- ベースアップ評価料・処遇改善加算の算定支援
- 健康経営に向けた制度設計と研修
- 目や身体の健康に関する労務対策(就業規則・安全配慮義務対応)
といった「専門職が安心して働き続けられる職場づくり」を、薬剤師・社労士の両視点からご提案しています。
◆ まとめ:目の不調は心身のSOSかもしれない
スマホやPCの使用が当たり前の時代において、「目が疲れた」は単なる一時的な不調ではなく、将来の疾患の前兆かもしれません。
特に医療従事者・教育関係者・保護者が早期に気づき、専門医療につなげることが求められます。
また、職場の健康課題は、経営・制度運用の視点からも見直すべきフェーズに来ています。
人材確保が困難な今だからこそ、働き続けられる環境の整備は「経営課題」そのものです。
内斜視の報道は、「見えづらさ」という視覚的なサインを通じて、私たちに職場の健康管理の見直しを促しているのではないでしょうか。
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