医療データ活用が進む?政府が方針決定~社会課題解決に向けた法整備へ~
仙台を拠点に、医療や介護の現場で働く方々と関わる中で、医療政策の動きにはいつも注目しています。
今回は、政府が「医療データの活用方針」を発表したというニュースについて、少し掘り下げてみたいと思います。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250613/k10014834801000.html
■ 医療データで社会課題を解決?政府が基本方針を決定
2025年6月13日、政府は「医療・教育・金融などのデータを社会課題の解決に活用する」という基本方針を発表しました。
石破総理大臣をはじめとした関係者が出席する「デジタル行財政改革会議」での決定です。
中でも注目されたのは、医療機関で蓄積された治療履歴のデータを、次世代の医療に活かすという方向性。
たとえば、新しい治療法の開発や、地域ごとの医療水準の底上げといったことが期待されています。
この「データの二次利用」には、今後法整備が検討される見通しです。
■ 医療現場の肌感覚として思うこと
医療機関や薬局、介護施設の方々と日々やり取りをする中で、
「データはあるのに、それが現場の改善につながっていない」という声を聞くことは少なくありません。
レセプトや電子カルテ、シフト管理表、ストレスチェックの結果など──
すでに医療・介護現場には膨大な情報が蓄積されています。
しかし、それが現場の安全性や労務管理、働きやすさの改善に直結しているかというと、
「活かしきれていない」というのが現状です。
■ 労務管理にも生きる「データ活用」
今回のように国が医療データの活用を推し進めることで、
たとえば以下のような労務的な課題にも新しいアプローチが可能になるかもしれません。
- 職員の配置や残業状況の見える化
- 処遇改善加算やベースアップ評価料の算定根拠の明確化
- 感染症対応など、業務の負荷の把握
- 離職リスクやメンタルヘルスへの早期対応
こうした動きは、単なる「デジタル化」ではなく、職場の環境整備や持続可能な経営にもつながります。
■ もちろん課題もあります
もちろん、すべてのデータが「簡単に活用できる」わけではありません。
特に医療・介護の現場では、プライバシーや個人情報保護の観点から慎重な対応が求められます。
また、そもそもデータを整える人的・時間的リソースが不足しているケースも多くあります。
中小規模のクリニックや薬局、福祉施設では、なおさらです。
■ 小さな施設でも、できるところから
データの利活用というと、つい「大規模病院の話かな?」と感じてしまいがちですが、
実は職員の出勤簿や体調報告、業務日誌の整理も立派な「業務データの活用」です。
紙からデジタルへの移行や、情報共有のフォーマット統一など、
できることから始めることで、現場の負担軽減や労働環境の改善につながっていきます。
■ まとめ:制度と現場の間をつなぐ視点が大事
国の制度やデジタル改革は、どうしても「遠い話」に感じられがちですが、
それを現場で“使えるもの”にしていくには、制度と現場の間をつなぐ視点が欠かせません。
日々の診療や介護業務に追われる中でも、
こうした政策の動きをうまく取り入れることで、将来的な業務改善や加算の取得にもつながるはずです。
HOLOS社労士&行政書士Laboでは、宮城県・仙台を中心に、
医療・薬局・介護業界の皆さまが「制度を味方に」できるようなお手伝いを行っています。
どんな小さな相談でも、お気軽にご連絡くださいね。
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