災害関連死を防ぐために──改正災害救助法が成立しました
こんにちは、HOLOS社労士&行政書士Laboの石田です。
今回は、2025年5月に成立した「改正災害救助法」について、医療・薬局・介護の現場視点から分かりやすく解説します。
災害時、特に在宅避難や車中泊を選ぶ高齢者や障害者がどれだけ多く、どれだけ支援が届きづらいか…。その現実を踏まえた、大きな一歩となる法改正です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250528/k10014818571000.html
改正災害救助法とは?──「場所」ではなく「人」に焦点を
これまでの災害救助法では、主に以下のような支援が対象でした:
- 避難所の設置
- 食料・水の供給
- 医療・応急住宅の提供
- 埋葬などの救助活動
しかし、自宅や車の中にとどまる人々への支援は法律の想定外。その隙間が、災害関連死という形で命を奪ってきました。
今回の法改正で新たに追加されたのは、「福祉サービスの提供」です。これにより、避難所にいない人にも支援が届く法的根拠が整いました。
なぜ必要だったのか?──能登半島地震の教訓
たとえば、2024年の能登半島地震では、避難所以外で生活する被災者の実態把握が遅れ、支援が1ヶ月以上後れた地域もありました。
一方、石川県珠洲市では、保健師やNPOなどがすぐに訪問活動を開始し、認知症の高齢者や障害のある方々の状況を丁寧に把握して支援につなげた成功例もあります。
これは行政だけでは実現できない連携の力でした。医療機関や薬局、介護施設、地域のNPOが力を合わせたからこそ可能になった対応です。
医療・薬局・介護の現場が果たすべき役割
社労士・薬剤師として私が注目しているのは、以下の3点です:
1. 災害時の服薬・医療支援
薬局や病院が在宅避難者への訪問を想定した体制を持つこと。
情報が遮断される中、薬剤師による薬の確保と管理支援は命に直結します。
2. 雇用・労務の継続支援
社労士の立場からは、介護職員等の人材確保や処遇改善加算の活用もポイントです。
災害対応中でも、安定した雇用と報酬が支援の持続性を支えます。
3. 行政手続と地域連携
避難所に行けない人の代わりに、福祉施設やクリニックが情報収集・相談支援の拠点になること。
宮城県や仙台市のような広域避難先でも、地域医療とのネットワークが不可欠です。
今後どうすべきか──「備え」と「連携」の体制づくりを
法律が整っても、実行できる現場の準備がなければ意味がありません。
大切なのは、平時から:
- 地域での医療・薬局・福祉の連携体制
- ベースアップ評価料や補助金制度の活用
- 災害対応のマニュアル整備と訓練
これらを一緒に考え、形にしていくのが私たちHOLOS社労士&行政書士Laboの役割です。
まとめ:災害関連死ゼロの社会を目指して
今回の法改正は、ただの制度変更ではありません。
「避難所にいない人にも目を向けよう」という社会の姿勢そのものが、法律として形になったのです。
医療・薬局・介護の現場で、支援の輪を広げていくことが、これからの大きな使命です。
💬 ご相談・体制づくりのご依頼は こちら からお気軽にどうぞ。
私たちHOLOSは、災害にも強い地域医療と福祉の未来を、皆さまと共に築いていきます。
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