自治体ががん検診の受診歴を把握へ──データ活用で未受診者に届く仕組みづくり
こんにちは。医療・薬局・介護の現場を制度面から支援している立場から、厚生労働省が進めるがん検診対策について分かりやすく紹介します。
背景と新ルール
厚労省は2025年6月23日の審議会で、自治体が住民のがん検診受診歴を一元把握し、未受診者に対して積極的に受診を呼びかける方針を決定しました pref.tottori.lg.jp+3x.com+3mhlw.go.jp+3。
「住民検診」と「職域検診」の受診履歴を統合し、住民自らが受診状況を報告する仕組みを構築。将来的には、マイナンバーカードなどのデジタル連携も視野に入れています mhlw.go.jp。
自治体にとっては努力義務となり、今年夏頃には指針が改正され、実施が促される見込みです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250624/k10014842501000.html
なぜ今、必要なのか?
- 現在、住民検診を受けているのは全体の約2~4割にとどまり、多くは勤務先の職域検診や人間ドックに依存しています mhlw.go.jp。
- 情報が分散していることで、自治体は誰が未受診なのか把握しづらく、結果的に受診率が伸び悩んでいます。
- 個別呼びかけ(問診票返信や電話・メール)によって、「たまたま受けそこねた」層の受診動機を引き出すことが有効です
現場経験から感じること
私自身、薬剤師として地域の健康相談に携わる中で、「忙しい」「行く暇がない」といった理由で受診を後回しにする方をよくお見かけします。そんな方に対して、自治体から「あなたは未受診ですよ」と知らせてもらうことで、受診の背中をそっと押すことができるはずです。
また、クリニックや薬局としても、住民が“どこまで検診を受けたか”を知る仕組みがあることで、より適切な健康アドバイスやフォロー体制が可能になります。これは、労務管理の視点でいうところの「チーム医療」としても価値があります。
制度と現場をつなぐ意識の必要性
自治体のシステム化・DX視点は重要ですが、現場としても以下を意識していくことが大切です:
- 検診未受診者への個別呼びかけの設計
- 受診率をどう管理し、どう改善につなげるかのPDCA
- 医療・介護・薬局の連携によるフォロー体制の構築
こうした仕組みは、ベースアップ評価料や処遇改善加算といった制度活用にもつながります。なぜなら、それらは「スタッフが安心して継続的なケアを提供できる職場環境」を評価する制度だからです。
HOLOSのサポートメニュー
HOLOS(ホロス)社労士&行政書士Laboでは、自治体・クリニック・薬局・介護施設が連携しながら、検診受診率向上に取り組む際の支援も行っています:
- 効率的な受診履歴管理フロー設計
- スタッフ研修や情報共有の支援
- ベースアップ評価料・処遇改善加算の活用に向けた体制づくり
制度と現場が連携することで、単なる義務ではなく、住民の命を守る“信頼と安心の関係”が生まれていくはずです。
がん検診の「受け忘れ」が命に関わることもあります。
地域と制度と現場が一体となり、見守る仕組みを強化していくことが、今後ますます重要になるでしょう。
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