薬局での窃盗事件が私たちに問いかけるもの

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薬剤師からの警鐘:薬局での窃盗事件が私たちに問いかけるもの

私はかつて薬剤師として、そして今は別の立場から薬局業務に関わっていますが、札幌市で起きた薬局での窃盗事件には大きな衝撃を受けました。元医療事務員が、売上金の一部であるおよそ120万円を盗んだというこの事件は、薬局における信頼とセキュリティの重要性を改めて考えさせられる出来事でした。

事件の背景

逮捕された藤林柊斗容疑者は、2021年12月から2022年1月にかけて、勤務していた薬局で閉店時の精算作業中に売上金を盗んだとされています。藤林容疑者は「盗んだ金で一気にもうけて借金を返そうと思っていた」と供述していますが、この行為によってその薬局は多大な損失を被りました。被害額は500万円を超える可能性があると報じられています。

薬剤師としての視点

私自身も薬剤師として、長年薬局で働いてきました。薬局は、クリニックや病院と同じく医療機関であり、単なる医薬品の提供場所ではなく、地域社会の健康を支える重要な拠点です。その中で働くスタッフ一人ひとりが、患者さんとの信頼関係を築き、維持することが求められます。しかし、こうした事件が起きると、その信頼は簡単に崩れ去ってしまうのです。

1. 信頼は何よりも重要

薬剤師時代の経験からも、患者さんが薬局に求めるのは「信頼」です。患者さんは私たちを信じて処方箋を持ち込み、相談し、健康を託してくれます。しかし、スタッフによる不正行為が明るみに出ると、その信頼は一瞬で失われてしまいます。信頼を築くためには、日常の業務を誠実にこなし、疑問や問題があればすぐに共有し、解決する姿勢が大切です。

2. セキュリティと透明性の確保

元薬剤師として強調したいのは、薬局でのセキュリティ対策の重要性です。私が勤務していた薬局でも、金銭の管理や在庫の確認は非常に厳格に行っていました。防犯カメラの設置や複数人での精算確認など、基本的な対策を講じることで、従業員が不正に手を染める余地をなくすことができます。また、経営者や管理者は定期的にこれらの対策が適切に機能しているかどうかを確認し、必要に応じて改善を行うべきです。

3. 従業員のメンタルケア

この事件の背後には、藤林容疑者が抱えていた借金問題がありました。薬剤師時代にも、経済的なストレスや職場でのプレッシャーに苦しむ同僚を見てきました。従業員が健全な心身で業務に臨めるよう、薬局としてもメンタルヘルスケアの提供や、相談しやすい環境作りが不可欠です。従業員が安心して働ける環境を提供することは、不正行為の抑止にもつながります。

まとめ

薬剤師として、今回の事件から私たちが学ぶべきことは、信頼関係の構築と維持、徹底したセキュリティ対策、そして従業員のメンタルケアの重要性です。私たちが提供するのは単なる薬ではなく、「信頼」そのものです。この信頼を守り続けるために、薬局全体での意識改革が求められています。

今回の事件を教訓に、私たち一人ひとりが「信頼される薬局作り」に向けて行動していかなければならないと思います。

宮城県・仙台市の社労士・行政書士 HOLOS社労士&行政書士Laboでは今後もお役に立てる情報や「豆知識」を投稿してまいります。

よろしくお願いいたします。

薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田 宗貴

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