薬局の調剤ミスによる患者死亡事件:遺族がスギ薬局に対し損害賠償を請求

スギ薬局で「糖尿病薬混入」の調剤ミス、74歳女性が半年後に死亡…遺族が3850万円賠償求め提訴(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース

2024年8月28日、東京都杉並区の高齢女性がスギ薬局の調剤ミスにより死亡したとして、その遺族が東京地方裁判所に約3850万円の損害賠償を求める訴訟を提起しました。この事件は、全国的に展開するスギ薬局の店舗で調剤された薬に誤りがあり、これが女性の死亡に関与したとされるものです。

事件の詳細

亡くなったのは74歳の田村マキさん。2021年10月18日、訪問診療を受けた田村さんは、医師の処方箋に基づきスギ薬局で薬を調剤しました。しかし、その薬には糖尿病薬が誤って混入されており、田村さんがその薬を服用したことで体調が急変。結果的に低血糖脳症を発症し、半年後に心不全で亡くなりました。

スギ薬局側は調剤ミスの事実を認めていますが、死亡との因果関係については「認めていない」との立場をとっています。遺族は、調剤ミスがなければ田村さんは亡くならなかったとして、スギ薬局の責任を追及しています。

薬剤師・社労士としてのコメント

薬剤師の立場から見ても、この事件は非常に重く受け止めるべきです。調剤ミスは、患者の命に直結する重大な事案であり、細心の注意が求められます。特に、調剤の際に使用される機械には、前の患者の薬が残らないような対策が不可欠です。今回のような事例では、薬の取り扱いに関するシステムの見直しが急務です。また、チェック体制が二重三重に機能していれば、このような事故は防げた可能性が高いです。今後、薬剤師一人ひとりが自身の業務にさらに誇りを持ち、厳密な確認作業を徹底することが求められます。

社労士の視点からは、企業としての危機管理やガバナンス、コンプライアンスの問題が浮き彫りになっています。スギ薬局が調剤ミスの事実を認めつつも、死亡との因果関係を認めていない姿勢は、企業としての信頼性を維持する上で大きな課題となります。企業は、こうした事態に対して透明性を持った対応が求められます。調剤業務におけるエラーのリスクを減らすため、再発防止策や従業員教育の強化が急務であり、これらの施策が実際に効果を上げているかの検証も重要です。

この事件を通じて、医療従事者全員が自分の業務の重要性を再認識し、安全な医療提供のために日々の業務に真摯に取り組むことが求められます。業務の仕組みや環境を見直し、患者さんの命を守るために最善を尽くす姿勢が大切です。


薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴

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HOLOS社労士&行政書士Labo
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