~年次有給休暇に関する豆知識②~
~年次有給休暇②~
前回の続きです。
まず、「時期指定義務」についてです。労働基準法では、年10日以上有給休暇が付与される労働者に対して、使用者(会社)が毎年5日間の有給休暇を「取らせる義務」があります。
これは、労働者が自ら有給休暇を取得しない場合でも、会社が時期を指定して休暇を取得させなければならないというものです。
この制度は、労働者の健康維持とワークライフバランスの向上を目的としています。
次に、「計画的付与」とは、年次有給休暇の付与日数のうち5日を超える部分について労使協定を結ぶことで、使用者が有給休暇を計画的に付与する仕組みです。
ただし、今まで休日だった日(例えば年末年始やお盆)に対して計画的付与を導入する場合には注意が必要です。
もともとは休日だった日を労働日に変更するわけです。
これは労働者にとって不利になる労働条件の変更(不利益変更)となります。
使用者側からの一方的な不利益変更は認められません。
「一斉付与」に関しては、通常入社後6ヶ月で付与される有給休暇を、全従業員に対して一斉に付与することができる仕組みです。
これにより個別に有給休暇を管理する手間を省く事が出来ます。
例えば、毎年4月1日に全従業員に一斉に有給休暇を付与することで、管理の負担を軽減できます。
ただし、この方法には、例えば入社後1ヶ月しか経っていない従業員にも有給休暇を付与することとなるため、会社はそれを許容したとしても従業員間の不公平感が出ますね。
そもそも勤怠システムを入れて有給を管理している会社さんにとってはあまりメリットはないかも知れません。
さらに、企業は「有給休暇管理簿」を作成し、各労働者の有給休暇の取得状況を適切に管理する義務があります(3年間保存義務)。
次回は有給休暇の買取についてご紹介します。
社労士として仕事してるととてもよく質問を受けます。
宮城県・仙台市の社労士・行政書士 HOLOS社労士&行政書士Laboでは今後もお役に立てる情報や「豆知識」を投稿してまいります。
よろしくお願いいたします!
薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴
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