小林製薬の紅麹サプリによる健康被害で40代男性が提訴:薬剤師・社労士による考察
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240904/k10014572081000.html
2024年9月4日、大阪に住む40代男性が、小林製薬の紅麹を含むサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を服用した後に腎臓機能障害を発症したとして、同社に損害賠償を求める訴訟を起こしました。小林製薬によれば、一連の健康被害を巡って訴えが起こされたのは今回が初めてです。
背景:サプリメントと健康被害
今回の訴訟の中心となっているのは、小林製薬が製造・販売する「紅麹コレステヘルプ」というサプリメントです。このサプリメントには、紅麹(こうじ)という成分が含まれており、コレステロールの改善を目的にしているとされています。
訴えによると、大阪の男性は2024年1月にこのサプリメントをインターネットで購入し、服用を開始しました。その後、同年5月に他のサプリメント摂取者が健康被害を報告していることを知り、医療機関を受診。そこで急性腎障害などの診断を受け、現在も経過観察が続いています。
男性側は、「会社が健康被害のリスクを早期に公表していれば、サプリメントを服用しなかった可能性が高い」と主張し、490万円あまりの損害賠償を求めています。
小林製薬の対応と今後の展開
男性の弁護士によれば、小林製薬はすでに男性に医療費などの一部を支払い、製品と健康被害に「相応の因果関係があると判断できれば補償する」としていますが、裁判では訴えを退けるよう求める方針です。
小林製薬は「訴訟の有無にかかわらず、健康被害を受けたお客様に対しては誠実かつ適切な補償を行っていく」とコメントしており、今後の裁判の展開次第では、同様のケースが増える可能性もあります。
薬剤師と社労士が知るべきリスク管理と対応
この事例は、サプリメントの安全性に関する重要な教訓を示しています。特に薬剤師や社労士としては、消費者や患者がこうしたリスクに直面する前に、適切なアドバイスを行うことが求められます。
- 薬剤師の視点
サプリメントは薬ではなく、医薬品としての厳しい規制を受けていないため、効果や副作用について消費者が十分に理解できていないことがあります。薬剤師としては、患者がサプリメントを使用する際に、成分の安全性や薬との相互作用について適切な助言を提供することが重要です。特に、紅麹はコレステロールに関与するため、スタチン系薬剤と同様の作用を持つ可能性があり、既存の薬との相互作用や副作用のリスクを考慮する必要があります。 - 社労士の視点
社労士にとっても、こうした健康被害が労働者の健康管理や職場復帰に関わる場合、リスク管理が重要です。従業員が健康被害を受けた場合、職場でのサポート体制や健康保険、労災対応などについて適切なアドバイスを提供することが求められます。また、サプリメントに起因する健康被害が労働者に影響を及ぼすケースが増えることも考えられ、労働環境での健康リスク管理がますます重要になってきます。
結論:安全なサプリメント利用のために
サプリメント市場は拡大を続けていますが、安全性への懸念も増えています。薬剤師としては、患者が医薬品以外の製品を使用する際に、リスクを理解したうえで適切なアドバイスを行うことが不可欠です。また、社労士としても、労働者の健康管理におけるリスクを認識し、サプリメント関連の健康被害が職場に及ぼす影響を最小限に抑えるための対応策を講じる必要があります。
この訴訟を機に、今後のサプリメント利用においては、安全性と情報提供の徹底が求められる時代となるでしょう。
宮城県・仙台市の社労士・行政書士 HOLOS社労士&行政書士Laboでは今後もお役に立てる情報や「豆知識」を投稿してまいります。
薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴
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