飲酒と糖尿病リスク—BMIによりリスクが異なることが判明

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京都府立医科大学の高橋芙由子氏らが行った研究によると、飲酒量2型糖尿病リスクの関係は、**BMI(体格指数)**によって異なることが明らかになりました。特にBMIが25未満の日本人では、1日あたりの飲酒量が増えると糖尿病リスクが上昇する一方で、BMIが25以上の場合、飲酒量に関係なく糖尿病リスクが低下することが確認されました。

飲酒と糖尿病リスクの関係—結果の詳細

この後ろ向きコホート研究では、40歳以上の10万人以上を対象に、健康診断データを基に解析が行われました。飲酒量を日本酒1合(約22gの純アルコール量)に換算し、糖尿病リスクとの関連を評価しました。

研究の結果、以下のことが明らかになりました。

  • BMI 25未満の人において、1日あたりの飲酒量が39g以上だと、糖尿病リスクが29%~36%上昇。
  • BMI 25以上の人においては、飲酒量に関係なく、糖尿病リスクが24%~30%低下。

これらの結果は、BMIによる飲酒の影響が異なることを示しており、BMI 25未満の人にとっては飲酒が糖尿病リスクを高める一方、BMI 25以上の人にはインスリン感受性の改善など、ポジティブな影響がある可能性が指摘されています。

飲酒と糖尿病—薬剤師の視点

薬剤師の立場から見ると、飲酒が糖尿病リスクに与える影響は重要な健康管理の要素です。糖尿病患者やその予備軍に対しては、飲酒の有害性を理解し、適度な飲酒や禁酒を提案することが大切です。特にBMIが25以上の人に対しても、過剰な飲酒が肝臓や心血管疾患に悪影響を及ぼす可能性があるため、飲酒習慣の見直しが必要です。

糖尿病治療薬を処方する際、薬剤師はアルコールとの相互作用に対しても注意を払うべきです。特にインスリン感受性や血糖値に影響を与える可能性があるため、適切なアドバイスを行い、患者が安心して治療に取り組めるようサポートすることが求められます。

医療機関の対応—社労士の視点

社労士としては、こうした研究結果を踏まえ、健康管理プログラムを提供する医療機関や職場において、飲酒習慣の見直しを支援する体制を整えることが重要です。職場での健康診断結果を活用し、飲酒が糖尿病リスクに与える影響を周知させることで、従業員の健康管理を促進できます。

また、飲酒習慣の改善や禁酒に関する教育を行うことで、生活習慣病予防に寄与する職場環境を整備することも、労務管理の一環として大切です。これにより、従業員の健康リスクを減らし、医療コストの削減や生産性の向上に貢献できるでしょう。

結論

今回の研究は、飲酒が2型糖尿病リスクに与える影響がBMIによって異なることを示しています。BMI 25未満の人には飲酒量が多いと糖尿病リスクが上がる一方、BMI 25以上の人には飲酒が糖尿病リスク低下に関連している可能性があります。しかし、飲酒の健康への有害作用を考慮すると、糖尿病予防のための飲酒は推奨されないという結論が出ています。薬剤師や社労士としては、これらの知見を踏まえ、患者や従業員の健康管理をサポートすることが重要です。


薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴

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HOLOS社労士&行政書士Labo
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