大企業の健康保険組合が1367億円の赤字に、高齢化と支援金増加が原因|社労士・薬剤師の視点からの課題と対策
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241003/k10014599941000.html
2024年10月、大企業の従業員らが加入する健康保険組合(健保組合)の昨年度決算見込みが発表され、全体で1367億円の赤字が報告されました。これは2年ぶりの赤字であり、高齢化の進行と現役世代からの負担増が大きな要因とされています。
決算のポイントと赤字の要因
健保連がまとめた令和5年度の決算見込みでは、組合全体の収入は賃上げにより保険料収入が増加し、前年度比2.7%増の8兆8313億円となりました。しかし、支出がそれを上回り、8兆9680億円に達しました。その結果、全体で1367億円の赤字が発生しています。
赤字の原因は2つあります。
- 現役世代の保険給付費の増加:新型コロナの影響により、医療費が5.3%増加。
- 団塊世代の高齢化による支援金の増加:75歳以上となった団塊世代に対して、現役世代が負担する後期高齢者医療制度への支援金が9.6%増えたことが、財政を圧迫しました。
赤字が拡大する健保組合
全体での赤字は2年ぶりですが、加盟する1380組合のうち半数以上(726組合)が赤字に転じました。前年に比べ、赤字の組合数は168組合増加しています。健保連は、今後も高齢化が進むため、現役世代の負担軽減策が急務であるとし、高齢者の医療費窓口負担の見直しなどが必要だと指摘しています。
薬剤師・社労士としての視点
今回の赤字は、現役世代が高齢者医療制度を支えるための財政負担が増大している現状を反映しています。これは医療機関や薬局にとっても他人事ではなく、健保組合の負担増が今後の医療サービス提供や患者負担に影響を与える可能性が高いです。
薬剤師としての役割では、患者に対する適切な薬剤の選択と指導、不要な医療費の削減をサポートすることが求められます。特に高齢者が多くなる医療現場では、過剰な医療を抑制し、適正な医療提供が必要です。
社労士としても重要な役割を果たすことができます。医療機関や企業の健保組合の運営に対して、財務管理や社会保険料の適正化に関するアドバイスを行い、現役世代の負担軽減策をサポートすることで、組合の安定した運営に寄与することが期待されます。特に、医療機関に従事する労働者が影響を受けやすいため、負担軽減策を含む労働条件の改善や福利厚生の最適化が重要です。
まとめ
大企業の健保組合が直面している赤字問題は、今後の日本の医療制度全体に深刻な影響を与える可能性があります。薬剤師や社労士として、適切な医療提供や労働環境の改善を通じて、医療費の適正化と現役世代の負担軽減に貢献することがますます重要になるでしょう。医療機関や薬局、企業が一体となってこの課題に取り組む必要があります。
薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴
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