茨城県「選定療養費」の導入で緊急性のない救急搬送を減少へ:医療現場の課題と社労士・薬剤師の視点から

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茨城県では、緊急性のない救急搬送患者に対して「選定療養費」を徴収する取り組みを12月から開始します。これは、救急車で搬送された患者の中で、緊急性が低いと判断された場合に追加の費用負担を求めることで、医療機関の負担を軽減し、本当に緊急の患者が適切な治療を受けられる環境を整える狙いがあります。

指針案によると、風邪のような症状や軽度の擦り傷などが「緊急性なし」として分類される予定です。現在、茨城県内では救急搬送が年間約14万件を超え、そのうち半数近くが軽症患者で、大病院に集中している状況が問題視されています。今回の取り組みにより、緊急性のない搬送件数を2割程度減少させることを目指しているとのことですが、県議会では議論が続いており、周知期間の不足や制度導入の急速さについての指摘も相次いでいます。

薬剤師としての視点から

薬剤師の視点から見ると、軽症の患者が大病院に集中してしまうと、本来救急対応が必要な患者の治療が遅れるリスクがあります。選定療養費の導入により、風邪や軽度の打撲などの症状の方が地域のクリニックや薬局を利用することを促進できるのは、患者にとっても医療機関にとってもメリットがあるでしょう。例えば、症状が軽い患者が気軽に立ち寄れる地域の薬局で、健康相談や市販薬の提供を受けることで、大病院の負担を軽減することができます。また、薬剤師が地域の医療ネットワークの一部として機能することで、患者にとっての利便性が向上し、医療機関の負担も減るでしょう。

社労士としての視点から

社労士の視点では、こうした新しい取り組みが医療現場に導入される際、医療スタッフの理解と対応が非常に重要です。新しい制度に伴う手順や患者への説明方法、適切な費用徴収の手続きなど、従業員がスムーズに対応できるよう、教育や研修を行うことが求められます。また、患者への案内資料や説明文を用意し、制度の意図や利点を分かりやすく伝えることで、トラブルや誤解を未然に防ぐことができます。地域医療がより効率的に機能するためには、こうした「事務対応力」の強化が欠かせません。

医療現場の円滑な運営と地域医療の未来

茨城県の今回の取り組みは、救急医療の課題に対応するための一歩です。しかし、その成功には、医療現場のスムーズな運営と、地域住民への適切な説明が欠かせません。薬剤師としては、地域の健康相談の受け皿としての役割を果たし、社労士としては、医療機関が新たな制度にスムーズに適応できるようサポートすることが重要です。患者や医療機関が制度の利便性を理解し、安心して利用できる環境を築くために、引き続き取り組みを支えていきたいと思います。

薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田宗貴

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HOLOS社労士&行政書士Labo
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