医療費負担増が現実に?薬剤師・社労士が解説する高額療養費制度の改定ポイン

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241115/k10014638981000.html

厚生労働省は、医療費が高額になった場合の自己負担を抑える「高額療養費制度」の上限額を引き上げる方向で検討を始めました。現役世代の保険料負担の軽減を目的としたこの見直しは、今後、患者や医療従事者にとってどのような影響を与えるのでしょうか。薬剤師や社会保険労務士として現場でどのように対応すべきか、考えてみたいと思います。

1. 高額療養費制度とは?その仕組みと現状

高額療養費制度は、高額な治療が必要となった患者の自己負担を軽減するための仕組みです。治療費が高額になった場合でも、年齢や年収に応じた上限額が設けられており、上限を超えた分は払い戻しを受けることができます。たとえば、70歳未満の方の場合、年収に応じて自己負担の上限が異なり、最も負担が少ない区分で月額3万5400円、最も負担が多い区分で25万2600円程度に設定されています。

2. 上限額の引き上げ検討:現役世代の保険料負担軽減が目的

厚生労働省が今回、上限額の引き上げを検討している背景には、増え続ける国の医療費と、それに伴う現役世代の保険料負担の増加があります。医療費をまかなうための財源として、現役世代の保険料が大きな負担となっていることから、厚労省は患者の自己負担を増やすことで、保険料負担の軽減を図ろうとしています。

ただし、低所得者層への配慮も検討されており、年収が少ない区分に関しては、上限額の引き上げ幅を抑えるなどの措置が取られる見通しです。これにより、医療費の自己負担が過度に重くならないよう調整が図られる予定です。

3. 薬剤師として知っておくべきポイント

薬剤師としては、このような制度改定が患者さんにどのような影響を与えるかをしっかりと把握し、適切な対応を行うことが求められます。上限額が引き上げられた場合、今まで以上に医療費の負担が重くなる患者さんも増えるため、以下の点に配慮する必要があります。

  • 医療費に対する説明の強化:患者さんにとっては、医療費の負担が増えることに対して不安が伴う可能性があります。薬剤師として、薬の費用や高額療養費制度について丁寧に説明し、適切な医療を受けるためのサポートを行うことが重要です。
  • ジェネリック医薬品の提案:自己負担額を抑えるための一つの手段として、ジェネリック医薬品を利用することが考えられます。患者さんの負担を軽減するために、ジェネリックの提案や説明を行うことが薬剤師の役割としてますます重要になります。

4. 社会保険労務士としての視点:医療機関や従業員への影響

社会保険労務士(社労士)の視点からは、この改定が医療機関やその従業員にも大きな影響を与えることを考慮しなければなりません。医療機関にとって、患者の自己負担が増えることで治療を受けにくくなる患者が増える可能性があり、結果として収益に影響を及ぼす可能性があります。

また、宮城県や仙台のように高齢化が進む地域では、高額療養費制度の利用が多く見られます。改定により医療機関の経営が難しくなれば、地域医療の安定も危ぶまれます。そのため、医療機関とその従業員が安定して働ける環境を維持するために、社労士として経営者に対して労務管理やコスト削減のアドバイスを行うことが求められます。

5. 制度改定に対する課題と今後の展望

今回の高額療養費制度の見直し案については、患者の自己負担が増えることで、与野党からの反発も予想されています。厚生労働省は、審議会での本格的な議論を経て年内に具体的な引き上げ額や実施時期を決定する予定ですが、制度改定が国民にとって大きな負担となる可能性があるため、慎重な判断が求められます。

薬剤師や社労士としては、制度改定によって生じる影響を注視し、患者や医療機関に適切なサポートを行う必要があります。特に、医療費が増加し、自己負担が増えることで、患者が医療を受けることに対して不安を抱くことがないよう、私たちが果たすべき役割はさらに重要になるでしょう。

6. まとめ:高額療養費制度の見直しに備えた準備が大切

高額療養費制度の上限額引き上げの検討が進む中、薬剤師や社労士としても最新の情報を把握し、患者や医療機関への影響を適切に理解することが求められます。薬剤師としては、患者の自己負担を軽減するための提案やサポートを行い、社労士としては医療機関や従業員の安定を支えるためのアドバイスを提供することが重要です。

宮城県や仙台を含めた全国で医療従事者や医療機関を支えるために、私たちは引き続き情報を発信し、サポートを行っていきます。

HOLOS社労士&行政書士Labo
薬剤師・社会保険労務士・行政書士
石田 宗貴

投稿者プロフィール

HOLOS社労士&行政書士Labo
HOLOS社労士&行政書士Labo