東京女子医科大事件に学ぶ:医療機関のガバナンス強化が不可欠な理由

先日報道された東京女子医科大学の元理事長による背任事件は、多くの医療関係者に衝撃を与えました。この事件では、元理事長が不正な報酬支払いを学内で承認させるために「虚偽のシミュレーション」を提示し、理事会の承認を得ていたことが明らかになっています。

医療機関や薬局などの運営においても、「組織のガバナンス(統治)」が重要視される理由を改めて認識させられる出来事です。本記事では、この事件から得られる教訓を、医療機関の運営に焦点を当てて考察します。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250115/k10014693531000.html


事件の教訓:チェック体制と透明性の欠如が招いた問題

東京女子医科大学の事件では、次のような問題が浮き彫りになりました:

  • ガバナンスの低下:理事長の強い権限により、理事会のチェック機能が形骸化していた。
  • 説明資料の不十分さ:当日に配布された資料をもとに迅速な意思決定が求められ、疑問を持つ雰囲気がなかった。
  • 透明性の欠如:説明が不十分であっても「実績」や「コストの優位性」といった要素で承認されていた。

医療機関は日々の診療や薬局業務に忙殺されがちで、運営や経営におけるガバナンスが後回しになりやすいですが、こうした体制の緩みが大きなリスクを生むことを、この事件は教えてくれています。


医療機関が取るべき具体的な対策

1. 内部監査の導入と定期実施

医療機関でも、理事会や経営会議の意思決定プロセスに対する内部監査を定期的に実施することが重要です。内部監査の目的は、運営の透明性を確保し、不正やガバナンスの低下を防ぐことにあります。

2. 意思決定プロセスの透明化

重要な意思決定に関しては、第三者機関や外部専門家を巻き込むことで、意思決定プロセスを透明化します。例えば、施設建設や大規模投資に関する提案では、事前に十分な資料を配布し、理事会での議論時間を確保するなどの工夫が必要です。

3. 教育と意識改革

医療業界の経営に関わるすべての人に対して、コンプライアンス(法令遵守)やガバナンスに関する教育を徹底することが不可欠です。役員や理事だけでなく、現場のスタッフまでが健全な組織運営の重要性を理解することで、全体としての意識改革が進みます。


医療機関の現場での工夫とサポートの必要性

医療現場では、運営や経営をしっかり支える仕組みを整えることで、本来の診療や患者ケアに専念できる環境をつくることが重要です。ここで、私たちのような社労士・行政書士がサポートできる領域をご紹介します。

  1. コンプライアンス体制の構築支援
    法令順守や内部規則の見直し、職場規定の整備を通じて、不正やリスクを未然に防ぐ体制作りをサポートします。
  2. 労務管理と人事制度の強化
    医療機関や薬局の職員の働き方改革に対応した労務管理の導入をサポート。スタッフの負担軽減にもつながります。
  3. 経営の透明性を高める手続き支援
    意思決定プロセスを明確化するためのドキュメント作成や運用ルールの策定をサポートします。

HOLOS社労士&行政書士Laboの取り組み

私たちHOLOS社労士&行政書士Laboは、医療業界を支えるパートナーとして、現場の課題に寄り添ったサポートを提供しています。医療機関や薬局の現場が円滑に回り、安心して患者さんに向き合える環境をつくるためのお手伝いをしていきたいと考えています。

今回の東京女子医科大学の事件を他山の石とし、より健全で透明性の高い医療運営を目指して、共に取り組んでまいりましょう。


医療機関・薬局の皆様へ:運営や経営に関するお悩みがありましたら、ぜひHOLOS社労士&行政書士Laboにご相談ください!

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