東京女子医科大学の背任事件から学ぶ医療機関のガバナンス強化:1億1700万円が招いた教訓

東京女子医科大学の元理事長による背任事件は、医療機関が抱えるガバナンスや資金管理の課題を浮き彫りにしました。大学資金が不正に還流され、1億1700万円という巨額の損害が発生したこの事件は、医療機関や薬局にとって決して他人事ではありません。今回は、この事件の詳細を踏まえ、医療機関がどのように透明性を高め、再発防止策を講じるべきかを考察します。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250114/k10014692631000.html


事件の概要:1億1700万円が還流された経緯

東京女子医科大学の元理事長は、大学の建築アドバイザーを務める建築士の専用口座に実態のない業務の報酬として資金を振り込み、その一部を現金で還流させていた疑いが持たれています。具体的には:

  • 資金総額:1億1700万円
  • 還流額:約3700万円(現金で受け渡し)
  • 受け渡し方法:建築士から元理事長の側近職員を通じ、現金を手渡しで還流。場所は元理事長の自宅近くで行われていたとされています。

さらに、今回の新宿キャンパスの建設だけでなく、別の医療センターの建設においても建築士に対して1億8000万円以上が支払われており、これらも還流された可能性があるとみられています。

加えて、元理事長の自宅や関係先からは、以下が押収されています:

  • 現金:およそ2億円(スーツケースなどに保管)
  • 金塊:2キログラム

この事件が浮き彫りにした課題

1. ガバナンスの欠如

  • 理事長という強い権限を持つ個人が資金管理を独占し、チェック機能が機能しなかったことが最大の問題です。
  • 理事会の承認プロセスも形骸化しており、実態が十分に審議されないまま、決定が進められていました。

2. 資金管理の不透明性

  • 不正還流が可能となったのは、資金の流れが外部に明確化されていなかったためです。
  • 組織的な内部監査や第三者によるチェックが行われていれば、防げた可能性があります。

3. 医療機関の信頼失墜

  • 医療機関は公共性が高く、患者や地域社会からの信頼が不可欠です。このような事件は、組織全体の信用に重大な影響を及ぼします。

医療機関が取るべき具体的な対策

1. 資金管理の透明性を確保

  • 第三者監査の導入:1億円以上の大規模資金が動く場合は、外部監査機関によるチェックを義務化します。
  • 財務管理システムの導入:資金の流れを電子的に記録し、不正リスクを低減します。

2. 意思決定プロセスの明確化

  • 理事会の議事録の公開:重要な資金支出について、透明性を担保するために議事録を詳細に記録し、必要に応じて公開します。
  • 複数承認制の導入:高額な支出や契約に対しては、複数の役員による承認を必要とする仕組みを構築します。

3. コンプライアンス教育の徹底

  • 定期的な研修:職員や役員を対象に、不正防止やガバナンスに関する研修を実施します。
  • 内部通報制度の強化:不正を発見した際に匿名で通報できる仕組みを整備します。

4. 外部支援の活用

  • 医療機関の経営課題を解決するために、社労士や行政書士によるサポートを活用します。特に、ガバナンスや労務管理に関する専門知識が求められる場面で効果を発揮します。

HOLOS社労士&行政書士Laboのサポート事例

私たちHOLOS社労士&行政書士Laboでは、医療機関や薬局の運営を支える以下のサービスを提供しています:

  1. 内部統制の構築支援
     財務管理や資金の透明性を高める仕組みづくりをサポートします。
  2. 労務管理の強化
     宿日直勤務の適切な管理や働き方改革への対応をお手伝いします。
  3. リスクマネジメント対策
     不正リスクを事前に防止するためのコンプライアンス規定の整備を支援します。
  4. 第三者の視点を活用した監査支援
     外部からの客観的な視点で、医療機関の運営状況を評価し、課題解決を提案します。

最後に:信頼を守るために

今回の事件は、医療機関がいかに公共性を持つ組織として、透明性とガバナンスを徹底する必要があるかを示しています。信頼は一日にして築かれるものではなく、日々の努力と誠実さによって積み上げられるものです。

HOLOS社労士&行政書士Laboは、医療業界の皆さまがこうした課題に対応し、持続可能な運営体制を構築できるよう、全力でサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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