「地域医療が崩壊する前に」──大学病院の経営危機と中小病院・クリニックへの教訓
こんにちは。
HOLOS(ホロス)社労士&行政書士Laboです。
医療機関や介護施設への人事労務支援を通じて、現場の“声”を大切にしています。
今回は、全国の国立大学病院が抱える深刻な経営問題から、私たちが日々関わる中小医療機関への示唆を読み解いていきたいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e1fe056ab4971d418bf4611043e7bbce94c716e?page=1
■ 赤字総額200億円超──国立大学病院の現実
国立大学病院長会議が2025年度決算の速報値として明らかにしたのは、全国42病院のうち6割が現金収支マイナス、赤字総額213億円という厳しい数字です。
背景には、
- 物価高騰、光熱費・材料費の上昇
- 人件費の増加(働き方改革・処遇改善)
- 高度医療や研究・教育費の負担
といった複合的な要因があります。
「診療すればするほど赤字」「研究に割く時間もなくなっている」といった声が、現場から次々に上がっています。
■ 大学病院の問題は“他人事”ではない
大学病院の規模と機能は特殊ですが、「人材不足」「コスト増」「制度の限界」といった経営課題は、むしろ中小病院やクリニックにとってより切実です。
実際、私が日々支援している仙台や宮城県内の中小医療機関では、
- 処遇改善をしたくても予算が取れない
- 人員不足でギリギリの診療体制
- 光熱費や薬剤費が予想以上に圧迫
という悩みをよく伺います。
■ 薬剤師・社労士の視点から見る「改善の糸口」
こうした状況の中で、私がご支援する際に大切にしている視点が2つあります。
▷ 処遇の見直しと人材定着の工夫
中小規模の医療機関でも、処遇改善加算やベースアップ評価料を活用することで、待遇改善やモチベーション維持に繋げているケースは多くあります。
大切なのは、「加算ありき」ではなく、“働き続けたくなる環境”を設計するという視点です。
制度はきっかけに過ぎません。定着や採用戦略まで見据えた設計が必要です。
▷ 労務管理の再点検と柔軟な体制構築
また、中小病院やクリニックでは勤怠管理やシフト運用が属人的になりがちです。
クラウド型の勤怠システム導入や、手当の整理、夜勤・残業のルール明確化など、「見える化」による安心感と経営効率の両立がポイントになります。
■ 最後に:崩れる前に、支える体制を
大学病院のような巨大な組織ですら、制度と現実のギャップに苦しんでいます。
だからこそ、中小の医療機関こそが早い段階から対策を講じておくことが大切です。
HOLOS(ホロス)では、制度活用・人事労務・経営改善の面から、現場に寄り添った支援を行っています。
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