医師の宿直義務が変わる?

ICT活用で変わる地域医療の夜間体制──中小病院やクリニックに与える影響とは

こんにちは。
HOLOS(ホロス)社労士&行政書士Laboです。
医療・薬局・介護の現場に寄り添う立場から、今回は「医師の宿直義務見直し」に関する最新の提案と、その背景、そして中小病院やクリニックにとっての意味を解説します。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/dec23bafac1b965969f27201a46bb8cfcd729f1b


■ 医師の宿直義務とは?

夜間も病院に医師を常駐させるという、医療法第16条に基づいた規定です。

しかし、医師不足が深刻化する中で、宿直医が確保できない地方病院では「病院の継続」そのものが危ういという声も出始めています。

これを受け、政府の規制改革推進会議が示したのが「ICT(情報通信技術)を活用した宿直体制の柔軟化」という新たな方針です。


■ どんな見直しが提案されているの?

  • オンラインで医師が看護師へ指示を出せる体制の導入
  • 医師が複数病院を兼務して宿直対応する仕組みの検討
  • 急変時には救急病院へ搬送する体制の整備

「医師がいないと不安」という声に対しては、「どうやって安全を確保するか」という視点で制度が再設計されつつあります。


■ 中小病院・クリニックにとっての意義

国の議論は一見、大規模施設の話題に見えます。
しかし、人的資源が限られているのは、むしろ中小医療機関の方がより深刻です。

たとえば仙台や宮城県のクリニックや慢性期病院でも、

  • 夜間対応の人材確保が困難
  • 医師の長時間勤務が常態化
  • 緊急時の連携先に不安がある

といった悩みが日常的にあります。


■ 薬剤師・社労士の視点から──今だからこそ整えたいこと

私が日々支援している中で、特に大切だと感じるのは次の2点です。

▷ 処遇の見直しと人材定着に向けて

中小規模の医療機関では、「給与や手当の見直し」や「勤務負担の調整」が現場の定着につながる鍵です。

その際、診療報酬上の加算や、ベースアップ評価料といった国の支援制度を背景に、可能な範囲で待遇改善を図る取り組みも有効です。

無理のない範囲でも、“これからもここで働きたい”と思える環境を、制度と工夫で支えていく姿勢が問われています。

▷ タスクシフトと柔軟な労務管理の設計

医師の負担を軽減するには、看護師・薬剤師・事務スタッフとの役割分担がカギになります。

そのためにも、勤怠管理の見直しや、夜勤ルールの明文化、クラウド勤怠システムの導入など、業務の“見える化”と柔軟な体制づくりが求められます。


■ 制度は「例外」から「選択肢」へ

今回の答申では、「例外的措置」としてスタートし、実効性を見ながら制度化を検討するというアプローチが取られています。

これは、「正解がない中で、現場から解を見つけよう」という、今の日本社会に合ったやり方だと感じます。


最後に──“医師をすべての施設に”はもう現実的ではない

日本社会は少子高齢化と医療ニーズの増加に直面しています。

もはや「どこにも医師がいて当然」という前提は成立しません。
むしろ、医師・看護師といった限られた資源を、本当に必要な場所に重点配置できる制度づくりが求められています。

HOLOSでは、現場の実情に寄り添いながら、制度運用・労務支援・人材定着の面から、持続可能な医療体制づくりをサポートしています。


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